ある ところに、一とうの としおいた ろばが いました。
あるひのこと、ろばの もちぬしが いいました。
「こいつも、すっかり おいぼれに なっちまって、もう、やくには たたないな。
あしたから、えさを やるのは よそう。」
これを きいた ろばは、すっかり はらを たててしまいました。
「なんて ひどい しゅじんだ!
いままで、さんざん はたらかせておいて!
もう、こんな ところに いるものか!」
ろばは、どんどこ にげだしました。
すこし ゆくと、一ぴきの いぬに であいました。
「おや いぬさん、そんなに しょんぼりして、どうしたんだね?」
ろばが たずねると、いぬは、ちからのない こえで こたえました。
「どうも こうも ないんだよ。
しゅじんが、ぼくを ころすって いうんだ。
としを とって、むかしの ように えものを おいかけられなく なったもんでね。」
「それで、にげだして きたんだね?
じゃあ、わしと おなじじゃないか。
どうだい! いっしょに ブレーメンのまちへ ゆかないか?
そこで、おんがくたいに はいろうよ。」
また すこし ゆくと、ねこに であいました。
「ねこさん、どうしたんだね?」
ろばが たずねると、ねこは、おこっていいました。
「まったく ひどいものですよ!
わたしの しゅじんときたら、わたしが としを とって、ねずみを とれなくなったとたん、
『おまえなんか、でていけ!』
といって、わたしを おいだしたんです。」
「それじゃあ、あんたも わしらと おなじだ。
どうだい! いっしょに、ブレーメンへ ゆかないか?」
ろばと、いぬと、ねこが あるいてゆくと、一わの おんどりが、こえを ふりしぼって ないています。
「やれやれ、なんて なさけない こえだ。
まるで、いまにも しにそうじゃないか。」
ろばが いうと、
「だって、そのとおりなんだもの。」
おんどりが こたえました。
「ぼくは きいてしまったんだよ。
この うちの おかみさんが、
『こんやの おきゃくさんには、おんどりの スープを だそう。』
と いってるのをね。
ぼくは、こんや ころされるんだ。
だから それまでに、なけるだけ ないておくんだよ。」