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ドナウ川のようせい 1/6

 オーストリアの みやこ ウィーンが、まだ ちいさな むらだったころ、ドナウ川の かわぞこに、すいしょうの おしろが ありました。

 つきの ひかりが おしろを てらすときなど、うつくしさに めが くらむほどでした。


 おしろには、おうさまと みずの ようせいたちが すんでいました。
 
 ようせいたちの たのしみは、すいめんに でて、うたを うたうことでした。


 おおひろまの テーブルの うえに、すいしょうの つぼが おかれていました。

 その なかには、ドナウ川で おぼれしんだ ひとたちの、たましいが はいっているのです。

 ようせいたちの、うつくしい うたごえに ききほれて、おぼれしんだ ひとたちの たましいでした。


 あるひ、おうさまが いいました。

 「よいか、おまえたち。

 これからは、おしろの なかで くらすのだ。

 けっして、にんげんの いのちを うばっては ならんぞ。

 もし いうことを きかぬものは、すぐに さかなに してしまうから、おぼえて おくがよい。」


 しばらくのあいだ、ようせいたちは おしろの なかで くらしていました。

 でも、みんな わかい むすめたちです。

 すぐに あきてしまいました。

 「すいめんに でて、うたを うたいたいわね。」

 「でも おうさまに みつかったら、さかなに されてしまうのよ。」
 
 「みつからずに、そとへ でられないものかしら……。」


 つきの あかるい、あるばんの ことでした。

 ひとりの ようせいが おおひろまを とおりかかると、おうさまが きもちよさそうに いねむりしています。


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