むかし あるところに、おじいさんと おばあさんが いました。
ふたりの すんでいる ちかくの やまに、とても いたずらな タヌキが いました。
せっかく つくった さくもつを ぬすんだり、はたけを あらしたり、ときには、しごとをしている おじいさんの うしろから、つちを かけたりするのです。
「こまった タヌキだ。
よし、ひとつ こらしめてやろう。」
あるひのこと、おじいさんは くわを かついで はたけへ ゆくと、
「よいしょ、よいしょ。」
あせを びっしょり かきながら、おおきな あなを ほりました。
それから、あなの うえに ほしくさを たくさん かぶせました。
「これで よし。
タヌキの やつめ、あしたは かならず いけどりにして、にどと いたずらをしないよう、うんと こらしめてやるぞ。」
さて つぎのひ。
おじいさんは、きのう ほった あなに せなかを むけて、はたけしごとを していました。
すると おもったとおり、タヌキが しのびあしで ちかよってきたのです。
おじいさんは、わざと しらんふりをしていましたが、タヌキが おじいさんの すぐ うしろまで くると、いきなり うしろを ふりむきました。
おどろいたのは タヌキです。
「ひゃあ!」
と さけんで しりもちを ついたとたん、ほしくさが くずれて、あなの なかへ まっさかさま。
「さあ、つかまえたぞ。」
おじいさんは、ぼうに タヌキの てあしを ゆわきつけ、かたに かつぎました。
タヌキは おおあわて。
〈こりゃ、たいへんな ことに なったぞ。
うっかりすると、タヌキじるに されてしまうかもしれない。〉
そう おもったので、わざと あわれなこえを だして、おじいさんに たのみました。
「おじいさん、どうぞ ゆるしてください。
そしたら、たからものの たくさん あるところを おしえますよ。」
けれども、おじいさんは しらんかおです。
「だめだめ、タヌキの いうことなど、しんようできない。」
と いいながら、どんどん あるいて うちへ つきました。