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つるのおんがえし 1/6

 「おお、さむい!」

 おじいさんは おもわず、みぶるい しました。

 ものすごい おおゆきで、やまは まっしろ……。

 みちは ゆきで うずまり、あるくのが やっとです。

 
 あさがた おじいさんが、まちへ たきぎを うりに でかけた ときは、よい おてんきだったのです。

 ところが、うちへ かえるとちゅう、きゅうに ゆきが ふりだして……。

 みるみるうちに、のも やまも まっしろに なってしまったのです。


 「まったく、こんな おおゆきは めずらしい……。」

 おじいさんは ひとりごとを いいながら、ひとあしずつ、ゆっくりと あるいてゆきました。

 そのとき どこからか、

 ばさばさっ! ばさばさっ!

 はげしい おとが きこえてきました。

 「はて、とりの はばたきのようだが……。」

 おじいさんは、あたりを みまわしました。

 すると たんぼの なかで、しきりに ゆきが まいあがっています。


 いそいで ちかよって みると、

 一わの つるが、くるしそうに もがいています。

 たんぼに しかけた、わなに かかっているのでした。

 つるは おじいさんを みると、あばれるのを やめて、かなしそうに おじいさんを みつめました。

 その めは、

 〈どうぞ、たすけてください。〉

 と いっているようでした。

 その めを みているうちに、おじいさんは、ふしぎな きもちに うたれました。

 たすけてやるのが あたりまえの ような、そんな きもちに なったのです。

 「わかった。いま、たすけてあげるよ。」

 おじいさんは いそいで、わなを はずしてやりました。


 ふわりっ、

 つるは しずかに まいあがりました。

 そして、

 こうーっ、こうーっ!

 と なきながら、ニど・三ど、おじいさんの あたまの うえを まわって……。

 やがて、とおくの そらへ きえてゆきました。


 そのあいだ おじいさんは、まるで うつくしい ゆめでも みるように、ぼんやりと たちつくして いました。


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