むかし あるところに、うらしまたろうという りょうしが すんでいました。
あるひのこと、たろうが はまべを あるいていると、
わいわい、わいわい。
こどもたちの さわぐ こえが、きこえます。
〈はて、なんだろう?〉
たろうが ちかよって みると、こどもたちは カメを、たたいたり つついたりして いじめているのです。
「これこれ、かわいそうなことを するものではないよ。
うみへ にがしておあげ。」
「いやだい! せっかく つかまえたんだもの。」
こどもたちは、いうことを ききません。
「それなら、カメを おじさんに うってくれないか?」
たろうが いいました。
「ほんとう?」
こどもたちは、いっせいに たろうの かおを みました。
「ほんとうだとも。」
「わーい、わーい!」
おかねを もらった こどもたちは、おおよろこびです。
「やれやれ、かわいそうに……。」
たろうは、あおむけに ひっくりかえった カメを おこし、せなかに ついた すなを はらってやりました。
「さあ カメさん、もう だいじょうぶ。
はやく、うちへ おかえり。」
つぎのひの ことです。
いつものように、たろうが つりを していると、
「うらしまさん、うらしまさん。」
どこかで、たろうを よぶ こえが します。
「はて? こんな うみの うえで、だれだろう?」
たろうは、きょろきょろ あたりを みまわしました。
すると、
「たろうさん、わたしですよ。」
きのう たすけた カメが、すいめんに ぽっかり かおを だしたのです。