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モーゼ(前1350ころー前1250ころ)

モーゼ(前1350ころー前1250ころ)紀元前20世紀ころ、イスラエル人はアブラハムをリーダーとして、カナン(今のパレスチナ地方)に移り住みました。ところが、しばらくするとたいへんな日照りがつづいて、食べ物がなくなってしまいました。しかたなく、イスラエルの人びとはカナンをあとにします。長いさすらいのはてに、エジプトにやってきたのですが、ほっとしたのもつかのま、またもや苦しみが待ちうけていました。新しい国王ラメス2世が、イスラエル人を牛馬のようにこきつかいはじめたのです。イスラエルの人びとは苦しい生活のつづくなかで、むかし先祖が楽しく暮らしたというカナンへの思いがつのりました。それは、紀元前14世紀のころのことです。モーゼは、ちょうどそのころのエジプトにイスラエル人の子どもとして生まれました。

「イスラエル人の男の赤ん坊をみな殺しにしてしまえ」

新しい国王の命令です。母親は,生まれてまもないモーゼをかごに入れ、ナイル川のアシのしげみにかくしました。運よく通りかかった女王に拾われたモーゼは、たいせつに育てられ、やがてたくましく成長しました。

成人したモーゼは、自分がイスラエル人であることを知りました。毎日、エジプト人にどれいのように扱われているイスラエル人を見て、やりきれない思いでいっぱいです。そんなある日、なぐられているイスラエル人の友だちを助けようとして、モーゼはエジプト人を殺してしまいました。もう町には住めません。あちこちをさすらったあげく、町から遠くはなれた地方で、モーゼは羊飼いになりました。

ある日のこと、いつものように羊を追って近くのシナイ山にやってくると、とつぜん神の声が聞こえました。

「わたしはイスラエル人の神ヤーウェだ。あなたは苦しんでいるイスラエル人のリーダーとなり、エジプトを出て、カナンの地へと向かいなさい」

モーゼは、すぐにみんなをつれて、ひそかにエジプトをのがれました。しかし海岸までやってきたとき、ふり返るとエジプト軍がせまっています。モーゼは海に手をさしのべ神に祈りました。すると海が割れ、道があらわれました。渡ってしまうと追ってきたエジプト軍は波にのまれてしまいました。困難は次から次へとやってきましたが、神に守られて、モーゼはイスラエルの人びとを、ぶじカナンの地へとみちびくことができました。こうしてヤーウェの神はイスラエル民族の神に高められ、キリスト教のもとであるユダヤ教の土台ができたのです。


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