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(7)

ゲーテ(1749−1832)

ゲーテは、歴史に残る偉大な文学者です。いつでもこまやかに人間を見つめ、作品を描きつづけました。のこされた詩や小説は、いまでも世界じゅうの人びとに親しまれています。

ゲーテは、ドイツの商業都市フランクフルトに生まれました。父はゆうふくな法律家で、母は市長の娘でした。明るい家庭でしたが、父親は、たいへんやかましい人でした。ゲーテは、毎日きびしく勉強させられたので、15歳のころには、ギリシア語、ラテン語、ヘブライ語なで7か国語の読み書きができるようになっていました。

ライプチヒの大学にすすんだゲーテは、父の強いすすめで、法律を学びました。しかし、ゲーテ自身は、法律にさほど興味がありませんでした。しばらくすると、親の目がとどかないのをさいわいに気ままにくらし始めました。不規則な生活をつづけ、ついには重い病気にかかってしまいました。やがて健康をとりもどしたゲーテは、ヘルダーという文学者に出会い、文学を見る目が初めてひらかれました。

そして、古い考え方に反抗して、あるがままの自分の感情をほとばしるように表現しました。1774年に発表したゲーテの代表作『若きウェルテルの悩み』は、失恋の心の痛手を小説にしたものです。新鮮な作品に感動した若者たちが、しだいにゲーテのまわりに集まるようになりました。

26歳の時、ゲーテは、ドイツ中部にあるワイマール公国にまねかれました。突然のことでした。ゲーテは、ワイマールで高い地位をあたえられ、一生この地に住みつづけました。本を読み、作品を書くだけではなく、政治にもたずさわり、忙しい生活でした。しかも、ゲーテは、しばしば恋愛をしました。ある時は、すでに結婚している女性を好きになってしまい、1500通もの手紙を送りつづけたほどでした。でも年をとるとともに、若いころのはげしい性格に、豊かさをくわえ、落ち着いた円満な人間になりました。そして、人生や世界を深くとらえた名作『ファウスト』を生み出しました。

ゲーテは、大文学者として名を高めましたが、それと同時にその純粋な人がらが、おおくの人に尊敬され、したわれました。なかでも詩人シラーとの美しい友情は、あまりにも有名です。

文学によって、人間の愛と真実を語り、政治や科学の方面にも活躍したその生涯は、迷い、苦しみ、悩みの連続でした。d

1832年、82歳のゲーテは「もっと光を……」という言葉を最期に、この世を去りました。


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