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(8)

グリム兄弟 ヤーコプ(1785ー1863)と
 ウィルヘルム(1786ー1859)

グリム兄弟ほどなかのよい兄弟は、めったにいません。二人は、どんな時でもいっしょでした。なかよく同じ学校へ進み、仕事や研究ばかりでなく日常の生活でも、はなれずに、心の通いあった人生をおくりました。グリム兄弟は、おたがいに助けあい、共同で『グリム童話集』を発表するなど、おおくの業績でしられています。

グリム兄弟は、ドイツのフランクフルトに近い、ハーナウに生まれました。兄がヤーコプ、1つ年下の弟をウィルヘルムといいます。二人とも大学で学んだのは、法律でしたが、はば広く学問にふれるうち、民話のおもしろさや神話にひかれ、文学の勉強もするようになりました。グリム兄弟は、民話の調査や研究をつづけ、大学卒業ご、図書館に就職してからも、仕事のかたわら、できるだけの時間をさきました。

民話は、一人の作者によってつくられた話ではありません。身近な日常生活の中に生まれ、親から子へ、子から孫へと、伝えられてきた話です。グリム兄弟は、人びとの間に伝わる民話が、時間とともに消えてしまったり、もとの形がくずれてしまったりすることを心配しました。二人は民話を未来へ、確実に残したいと考えました。元気で活動的なヤーコプが、国じゅうの町や村を歩いて、民話を聞き集めてきます。それを体のあまりじょうぶでないウィルヘルムが、美しい文章で整った物語にしあげました。こつこつと何年も仕事をつづけて、完成させたのが、有名な『グリム童話集』です。『ヘンゼルとグレーテル』『白雪姫』『赤ずきん』などの、だれでも一度は、読んだことのあるむかし話が、おさめられています。兄弟は、童話集のほかに『ドイツ伝説集』を出版しました。

グリム兄弟は、すぐれた学者として、大学教授にむかえられ、20年つとめた図書館を去りました。新しい仕事として、二人は『ドイツ語辞典』をつくることになりました。この『ドイツ語辞典』は、たいへん大がかりな計画で、グリム兄弟は、死ぬまでの20年余りにわずか1割しかなしとげることができませんでした。しかもグリム兄弟のあとに、すぐれた学者たちが、仕事をうけつぎましたが、辞典の完成までに100年もかかってしまいました。

根気の必要な研究を、グリム兄弟は、しんぼう強く、いくつも完成させ、現代の学問にさまざまな影響を与えています。晩年は、ドイツ学界の長老として、活やくし、純すいな人柄は、おおくの人に愛されつづけました。


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