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(11)

ダイムラー(1834−1900)

自動車の研究は、いまからおよそ400年くらいまえから、ヨーロッパで始められました。でも、自動車といっても、初めは帆かけ船のように帆を張って、風の力を利用して走るものです。そのつぎは蒸気や電気の力で走るものでした。ガソリンエンジンの自動車があらわれたのは約100年ほどまえになってからのことで、その発明者が「自動車の父」ゴットリープ・ダイムラーです。

ダイムラーは、1834年に、ドイツ西部で生まれました。

パン焼きの職人だった父は、むすこを、役人にしようと考えていました。ところが、ものを作ることがすきだったダイムラーは、自分からすすんでかじ屋ではたらきながら、苦学をして、30歳ちかくになってから、工芸高等学校を卒業しました。

外国へも行って機械製作の技術者として、うでをみがいたのち、38歳のときに、ドイツの技術者オットーのエンジン工場に、職工長としてむかえられました。しかし、オットーの開発した、大型で回転のおそいエンジンでは役に立たないと考え、やがて、自分で自動車工場をたてました。そして、小型で回転の早いエンジンの研究を始めたのです。

「自動車で、人間を、もっと自由に、どこへでも……」

1883年、1分間に約900回も回転するエンジンを作り、1885年に、これを木製の2輪車に積んで走らせました。世界で初めてのオートバイです。スピードは1時間に12キロメートルでしたが、それでも人びとは、その早さに目を見はりました。そして翌年には、さらに改良したエンジンを、馬が引いていた4輪車にとりつけ、時速18キロメートルで走らせるのに成功しました。ガソリンエンジンで走る自動車の輝かしい誕生です。

1894年にパリで開かれた世界最初の国際自動車レースで、ダイムラーの自動車がみごとに優勝して、世界の人びとは、ガソリンエンジンで走る自動車のすばらしさを知りました。

しかし、ダイムラーはそれから6年ののちに、世界じゅうが自動車でいっぱいになる日を夢見ながら、66歳の生涯を終えました。

ダイムラーが残した工場は、そのごベンツの工場と合併してダイムラー・ベンツ社となり、いまも、世界でもっとも古い自動車会社を誇っています。ダイムラーは、大科学者ではありません。しかし、機械に親しむ心が、大きな発明を生みだしました。日本で初めてガソリンエンジンの自動車が作られたのは、1907年のことでした。


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