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(13)

ディーゼル(1858-1913)

空気を強く圧縮すると高い温度になります。この原理を応用して、空気を圧縮した筒のなかに液体の燃料を噴射して自然発火させ、爆発力でピストンを動かすエンジンが、1897年に発明されました。そのエンジンを発明したのが、ルドルフ・ディーゼルです。

ディーゼルは、1858年、フランスのパリに生まれました。両親ともドイツ人で、父はパリの皮革工場の労働者でした。幼いころから機械がだいすきだったディーゼルは、ひまさえあれば技術博物館へ通って、あきずに機械をながめていました。

1870年の7月、フランスとドイツのあいだで普仏戦争が起こり、一家は危険をさけてイギリスへ渡りました。やがて戦争が終わると、ディーゼルは、ドイツのミュンヘン工業大学へ進むことになりました。父が、機械ずきのわが子の才能を、故国ドイツの大学でのばしてやろうと考えたのです。

「おとうさんありがとう。りっぱな技術者になってみせます」

ディーゼルは目を輝かせて勉強にはげみました。そして、蒸気機関では、石炭の熱エネルギーがわずか20パーセントさえ生かされていないことを知り、エネルギーをむだにしない新しい動力機関の研究にとりくみました。

大学を卒業すると、高い圧力やアンモニアを研究するために、パリへでて冷凍工場の技師になりました。そして、アンモニアの蒸気を使った蒸気機関をつくろうと考えましたが、この研究は実をむすびませんでした。

そのころ、同じドイツ人のダイムラーによって、ガソリンエンジンが発明され、ディーゼルは、このすばらしい発明に目をみはりました。でも、自分の発明はなげだしませんでした。

「ガソリンエンジンは、電気の火花で点火しなければならない。でも、点火させずにすむ方法があるはずだ」
ディーゼルは、もういちどドイツへ帰り、それから10年ものあいだ、何度も失敗をくり返しながら実験をかさねて、38歳のとき、ついに力強い新エンジンを発明したのです。

1912年に、ディーゼルエンジンをつけた世界で初めての船が造られました。ところが、そのよく年にイギリスのエンジン工場の視察にでかけたディーゼルは、船の上から、とつぜんすがたを消してしまいました。あやまって海に落ちたのか自殺したのか、それはいまも、なぞにつつまれたままです。

ディーゼルエンジンは、そのご重油という安い燃料の普及で、世界の乗り物や産業にひろく用いられるようになりました。


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