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(14)

メーテルリンク(1862−1949)

「病気のむすめのために、青い鳥をさがしてきておくれ。青い鳥さえあれば、あの子はしあわせになれるのだからね」

クリスマスの前の晩、貧しい木こりの息子チルチルと妹のミチルは、魔法使いのおばあさんにたのまれ、犬やネコのほか、光の精や水の精などのふしぎなお供をつれて、夢の中の世界へ青い鳥をさがしにでかけます。

しかし、思い出の国へ行っても、幸福の国へ行っても、未来の国へ行っても青い鳥はみつかりません。やっと青い鳥をつかまえたと思うと、すぐ色がかわってしまいます。

やがて、朝になり、ふたりは目をさましました。するとどうでしょう、青い鳥は、木こり小屋の鳥かごの中にいるではありませんか。ほんとうの青い鳥(しあわせ)は、すぐそばの、自分たちの生活のなかにあったのです。

これは、モーリス・メーテルリンクという人が書いた『青い鳥』のあらすじです。はじめは「幸福とはなにか」を問いかけた、大人のための劇でしたが、メーテルリンク夫人が『子どものための青い鳥』に書きなおしてから、世界じゅうの子どもたちにもしたしまれるようになりました。

1862年、ベルギーに生まれたメーテルリンクは、美しい自然にかこまれた静かな別荘で、文学や詩を楽しむ、めぐまれた少年時代をすごしました。

父が法律家だったため、自分も大学で法律を学んで弁護士になりました。しかし、ほとんど仕事をしないうちに、文学への夢を追いもとめてパリへとびだしてしまいました。そして27歳のとき、詩集『温室』と戯曲『マレーヌ王女』を発表して、メーテルリンクはたちまち有名になりました。

「人間は、詩や運命をどのように見つめながら生きていけばよいのだろうか」

たくさんの作品を生みだしながら、メーテルリンクは考えつづけました。『青い鳥』のなかにも「どんな運命をせおっていても、幸福は自分でつかもう」という考えが描かれています。

昆虫や動物の命についてもすぐれた本を著わし、『貧者の宝』『英知と運命』などの論文には1911年、ノーベル文学賞がおくられました。

メーテルリンクは、86歳で世を去りました。
 
しかし『青い鳥』はいまも読みつがれ、自分自身の幸福をさがしもとめている世界の人びとに、1日1日を清らかな心で生きぬくたいせつさを、やさしく語りかけています。


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