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ロマン・ロラン(1866−1944)

ロマン・ロランは、長編小説『ジャン・クリストフ』でノーベル文学賞を受賞した、フランスの小説家です。

教育熱心な両親に育てられたロランは、20歳のときにパリの高等師範学校へ進んで歴史と哲学を学び、卒業ごは、2年間イタリアへ留学して、さらに音楽史や美術史を研究しました。また、留学中に、理想主義にもえるマイゼンブルク夫人と知りあって、楽聖ベートーベン、文豪ゲーテらの生涯について教えられ、偉大な人びとへの尊敬と愛をふかめました。

帰国ご、高等師範学校とパリ大学で芸術史、音楽史を教えるようになりましたが、やがて、『狼』『ダントン』などの革命劇を書きはじめました。1894年に、軍の横暴で無実のユダヤ人が投獄される「ドレフュス事件」が起こり、この事件にしげきされて、人間の自由を守るための革命に心をひかれるようになったのです。そして、つぎには、芸術家たちの純粋な心を見つめて『ベートーベンの生涯』『トルストイの生涯』『ミケランジェロの生涯』などの伝記を、次つぎに発表しました。

「偉大な芸術家たちにも、あんな苦しみがあったのか」

伝記を手にした人たちは、人生のきびしさを学びました。

人間の成長の歴史を、社会の発展とむすびつけてえがいた大河小説『ジャン・クリストフ』。この大作にとりくみ始めたのは、ロランが38歳のときでした。ベートーベンを愛したロランは、この大音楽家の生涯を心のどこかにとどめていました。そのためか、この小説には、真実に向かって勇ましく生きぬいていく人間のすがたが、みごとにえがきつくされています。

「人間は、勇気をもって気高く生きなければいけない」

およそ10年の歳月をかけて書きあげられた『ジャン・クリストフ』は、世界じゅうの人びとに大きな感銘をあたえました。

1914年に第1次世界大戦が始まりました。ロランは、人間愛にもえてペンをとり、小説『ピエールとリュース』、評論『戦争を越えて』などで、戦争の悪を叫びつづけました。また、戦争が終わってからも、インドのガンジーらと手をとりあって、人類の平和をむしばむ地球上の帝国主義と闘いました。

67歳のとき、人間の良心の勝利をえがいた、ロランの第2の大作『魅せられたる魂』を書きあげ、そのごも、衰えていくからだにむちうって、人間の自由をたたえる作品を発表していきました。第2次世界大戦中の1944年、ロランは、人間の理想の道をあゆみつづけた78歳の生涯を終えました。『ベートーベン研究』が、最後の大きな仕事でした。


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