オンラインブック せかい伝記図書館 巻末小伝
(17)

ホー・チ・ミン(1890-1969)

ベトナムは、19世紀の中ごろからフランスに侵略され、1885年からは、国の全土が、フランスの植民地になっていました。

「ベトナム民族のために、祖国を独立させなければだめだ」

幼いころから国を愛する心をあたためてきたホー・チ・ミンは、祖国を救うこころざしをたてて、21歳のとき、ベトナム中部のふるさとの村を、あとにしました。そして、イギリス、フランス、中国、ソ連などで、苦しい労働や侵略国の圧迫と闘いながら、革命の思想を学びました。また、やがて革命の旗をかかげるときにそなえて、民族の自由をとなえる人びとの組織を育てました。

1939年、第2次世界大戦が始まりました。ホー・チ・ミンは、その2年ごに、胸の灯をあかあかともやして、祖国へ帰ってきました。30年ぶりでした。このとき、ベトナムには、太平洋戦争に勝ち進んだ日本軍が侵入してきていました。

「フランス植民地主義と戦え。日本の帝国主義と戦え」

ホー・チ・ミンは、ベトナム独立同盟を結成して、立ちあがりました。苦しい戦いでした。1942年には、革命に反対する軍隊にとらえられ、1年以上のあいだ、くさりにつながれて各地をひきずりまわされました。しかし、屈しませんでした。

1945年、第2次世界大戦が終わると同時に、ベトナム民主共和国の独立を宣言して、初代の大統領となりました。独立宣言を読みあげるホー・チ・ミンの目から、熱い涙がこぼれました。

ところが、大きな困難が立ちふさがりました。ベトナムの植民地支配の権力をとりもどそうとするフランスが、南ベトナムと手をむすんで、またも、進入してきたのです。

「われわれは、二度と、他国のどれいになってはならない」

ホー・チ・ミンは、民族の力をひとつにして戦いぬき、1954年に、フランス軍を打ち破りました。でも、戦争は、まだ終わりませんでした。フランスにかわって、こんどはアメリカが南ベトナムをあやつりながら、空軍による北ベトナム爆撃を開始して、戦いは、ベトナム戦争へ発展しました。

「ベトナムの統一と平和は、民族の力でなしとげるのだ」

ホー・チ・ミンは、民族の自由を叫んで戦いつづけました。しかし、1969年、戦いのとちゅうでたおれてしまいました。

79歳の生涯を革命にささげたホー・チ・ミンは、自分の幸せなど考えませんでした。いつも、すべてのベトナム民族を愛し、人びとから、ホーおじさんと、したしまれました。戦争が終わり、ベトナム社会主義共和国が生まれたのは、1976年でした。


もどる
すすむ