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(17)

オパーリン(1894-1980)

地球上の生物は、初めは、どのようにして生まれたのだろうか……。「きっと、神さまがつくったのだ」

「いいえ、自然に生まれたのだ」「そうではない、宇宙の、ほかの天体からとんできたのだ」。むかしから、地球上の人びとは、このように考えつづけてきました。

アレクサンドル・オパーリンは、この生物の起こりを、世界で初めて科学的に説き明かした、ソ連(現在のロシア) の生化学者です。

19世紀の終わりに商人の子として生まれたオパーリンは、モスクワ大学で植物生化学を学びました。それは、植物をこまかく分析して「生物の生命とは、いったい何か」を、つきとめる学問です。卒業ごも研究室で研究をつづけ、35歳で、母校の教授になりました。また、6年ごには、バッハ生化学研究所にむかえられ、生命の神秘に、ますます深くいどみました。

1936年、研究の成果をまとめて「生命の起源」を発表しました。オパーリンが、およそ10年の研究でつきとめたのは、つぎのようなことでした。

「温度が高かった地球の表面が冷えはじめたころ、空気中に炭化水素が発生した。地球で初めての有機化合物である。やがて、この有機化合物は、雨にまじって海中へ入り、コアセルベートという、生命をもった小さな液のかたまりになった。そして、コアセルベートは、ほかの物質と作用しあって単細胞の生物へと生まれかわっていった。これが、生命の起こりである。生物は、自然に生まれたものでも、神がつくったものでもない。地球の誕生とともに、生命をもつ有機物質から、ひとつの順序をへて生まれたのだ」

オパーリンは、まず、炭化水素や有機物質の性質について研究をつづけ、その成果を、数10億年まえの地球の始まりとむすびつけて、生物の起こりを考えたのです。この「生命の起源」は、生物の自然発生説などをしりぞけて、これまでの生命についての考えをすっかり改め、世界の生化学者たちの研究に大きな光をあたえました。

しかし、オパーリンの研究の成果が、すべて正しいとされたのではありません。地球が生まれるときのことなどに、まだまだ、なぞが少なくないからです。

オパーリンは、生物の細胞の中でつくられる酵素の研究にも、大きな功績を残しました。また、科学者として、世界の平和運動にも力をつくしました。生命の起源と発達の研究は、このオパーリンの考えをもとにして、いまも、つづけられています。


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