いまから2000数百年まえ、ギリシアの北の方に、マケドニアという国がありました。
古くから文化のさかえたアテネやスパルタにくらべてマケドニアは、まだあまり開けていない小さな国でした。
しかし、フィリッポス2世が王になると、強い軍隊をそだてあげ、ギリシアに攻めこんで領土をひろげ、しだいに強い国にしたてていきました。
そのマケドニアに、紀元前356年、王子として生まれたのがアレクサンドロスです。
「わしの立派なあとつぎができた」
フィリッポス王の喜びようは、たいへんなものでした。
息子が13歳になると、ギリシアから大哲学者アリストテレスが家庭教師として招かれました。
かしこいフィリッポス王は、力が強いだけでは立派な王になれないことをよく知っていたのです。
王子は城をはなれ、ミエザという静かな町でアリストテレスと過ごしました。
わんぱくざかりの王子にとって、きむずかしい先生といっしょに暮らすのは、とてもにがてでした。
しかし、勉強はいつも野外の木かげのベンチや、川のほとりで行なわれましたので、王子はしだいに学問の世界に心ひかれていきました。
植物や動物、人間のからだなどに関する勉強が、アレクサンドロスはとくにすきでした。
こうして、3年の月日がたち、学ぶことの楽しさがやっとわかってきたころ、王子は城によびもどされることになりました。
「アレクサンドロスさま。あなたは将来、王となられるお方です。大きな理想を持つと同時に、どうか、こまやかな心づかいのできる人間になってください」
アリストテレスの別れのことばが、16歳の王子の心に深くしみこみました。
