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ベートーベン

表紙
ベートーベン(1770-1827)
音楽家の生命ともいえる〈耳〉をうばわれながらも、不滅の名曲を生みだした大音楽家。

「ベートーベン」読書の手びき

 フランスの作家ロマン・ロランは、伝記『ベートーベンの生涯』のなかで、「彼は悩みたたかっている人びとの最大最善の友である」と語っています。それは、孤独な運命の嵐に耐え「悩みをつきぬけて歓喜にいたれ」と叫んだ人間ベートーベンが、苦しみにうちかった人生の勝利者だったからです。ベートーベンは、自分の名声のために作曲したことはありませんでした。絶望にうちのめされた気持ちや、心にわきあがってくる喜びを外にほとばしりださせるために、五線譜にたちむかいました。才能を人に見せるためにではなく、自分自身のために作曲をつづけたのです。だから、ベートーベンは芸術家としての自分に誇りをもち、お金で音楽を楽しむ貴族などには、けっして頭をさげませんでした。ベートーベンの残した名曲の数々は、人間は苦しみをのり越えたときにはじめて、人生のほんとうの喜びを得ることができるのだ、とかなで続けています。

文:有吉忠行
絵:鮎川 万
編集プロデュース:酒井義夫

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