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近松門左衛門

表紙
近松門左衛門(1653−1724)
歌舞伎と人形浄るりのための名作を書いて、日本の演劇の幕を開けた江戸時代の劇作家。

近松門左衛門」読書の手びき

 江戸幕府は、武士による封建社会の支配を維持していくために、士農工商という身分制度を確立して武士が最高位の特権階級であることを世に示しました。農は農民、工商は町人です。ところが、歌舞伎や浄瑠璃などの芸能に関係した人びとは、町人以下だと、さげすまれていました。歌舞伎が初め京都の四条河原で興行されたことから、歌舞伎役者を河原乞食と呼んだほどでした。でも、幕藩体制が固まって文治政治が始まると、経済の発展にともない、町人の力が台頭して都市を中心に町人文化が栄え、歌舞伎も浄瑠璃もすぐれた芸能へと発達していきました。近松門左衛門は、ちょうどこの時代に芸能界へ飛び込んだのです。そして、華麗さとおもしろさを売りものにしていた多くの芸能にいのちを注ぎ込み、日本の演劇を生きたものにしました。門左衛門の生涯をたどれば、そこに、今日ある歌舞伎や浄瑠璃の原点を見つけだすことができます。

文:有吉忠行
絵:岩本暁顕
編集プロデュース:酒井義夫

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