いまからおよそ2000年まえ、地中海の東に面したユダヤの国に、マリアという娘がおりました。
マリアは、大工ヨゼフのいいなずけでした。結婚もまぢかなある日、マリアに聖霊がくだりました。聖霊というのは、神の心を意味します。
天の声は、マリアにいいました。
「神に祝福されたマリアよ。あなたは身ごもって、男の子をうむでしょう。その子をイエスと名づけなさい。子は立派に成長し、いと高き者の子とよばれるでしょう」
月がみちて、マリアは元気な男の子をうみました。
そのとき、まっかにもえる不思議な星が、空にあらわれたといわれています。
イエス誕生のうわさは、ベツレヘムの町に、たちまち広がりました。
「神の御子がお生まれになったそうだ」
「やがて、ユダヤの王となられるお方らしい」
このうわさを、こころよく思わない人がいました。
ローマから任命されて、思いのままにユダヤの政治をおこなっていたヘロデ王です。
うわさがユダヤじゅうに広まらないうちに、その幼子を殺してしまおうと使いを出しましたが、うわさの赤ん坊はなかなか見つかりません。
そこで、ざんこくなヘロデ王は、ベツレヘムにいる2歳以下の男の子を、残らず殺すように命じました。
しかし、イエスは無事でした。
「その子をつれて、エジプトへにげなさい」という神のおつげにしたがって、ヨゼフとマリアは、イエスをだいてベツレヘムをぬけ出していたのです。
何年かして、ヘロデ王が亡くなると、親子はユダヤにもどってきました。ベツレヘムのずっと北の、小さな村ナザレに帰ってきたこの家族に、注意をはらうものなど、だれひとりとしていませんでした。
ナザレ村で、ヨゼフは大工としてはたらきました。イエスはそこで成長し、やがて、大工のしごとを手伝うようになりました。