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ファーブル

表紙
ファーブル(1823-1915)
やさしいまなざしで昆虫をみつめ,
その生態を美しい文章で『昆虫記』に記した昆虫学者。

「ファーブル」読書の手びき

 ファーブルは『昆虫記』全10巻を、およそ30年という長い歳月をかけて完成させました。昆虫の観察ひとすじに生きた崇高な努力の結晶であり、まさに、自己の信念へ向かって命を燃焼させる、清らかな研究者の典型を見ることができます。『昆虫記』を読むと、さまざまな昆虫の生態のおもしろさと本能の神秘さに、すっかり心を奪われます。そしてさらに、生きるものの命の尊さと、命あるものが生き続けることの尊厳について、どこまでも深く考えさせられます。このファーブルの『昆虫記』のすばらしさの秘密は、ほんとうはここにあるのだといっても、よいのかもしれません。それは、ファーブルの昆虫の研究は、昆虫を愛することに始まり、たとえ小さな生きものであっても、厳然と存在する命の確認を基底にして、つらぬかれたものであったからです。詩情あふれる『昆虫記』だと評されるのも、ファーブルの愛が、その底に一貫して流れているからでしょう。

文:有吉忠行
絵:鮎川 万
編集プロデュース:酒井義夫

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