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藤原道長


藤原道長
(966−1027)
幸運にめぐまれて藤原氏の全盛をきずき、はなやかな平安時代をつくりだした貴族政治家。

「藤原道長」読書の手びき

藤原氏は、中臣氏と称していた鎌足が、大化の改新の功によって天智天皇から藤原朝臣の姓をさずけられたのが始まりです。そのごは、皇室と姻戚関係を保ちながら皇室の権威を背景にして栄え、鎌倉時代に武士の勢力が強くなってからは、しだいに衰えはしたものの、その家系は江戸時代の終わりまで、なんらかの形で国の政治に強くかかわってきました。ひとつの氏族が1000年以上も国の政治とむすびついて続いてきた例は、世界史のなかでもめずらしいことだとされています。道長は、その藤原氏の最盛期に生きたわけです。3人のむすめを天皇のもとへ嫁がせ、朝廷の重要な官位をすべて一族で独占して天皇を自由にあやつり、政治の権力をほしいままにしました。また、公地公民制を基礎とする律令制をくずして大きな土地を私有化し、その荘園から吸いあげたばく大な金によって、まさに生きながら極楽浄土にいるような栄華を楽しみました。そして、52歳で出家してからは、金色に輝く法成寺を建立し、来世へも極楽浄土の夢をつないで死んでいきました。日本の歴史のなかで、これほど思いあがって生きた政治家は、きっと、ほかにはいないでしょう。しかし道長は、日本史に大きく名をとどめています。それは、貧しい人びとへの政治には力をつくさなかったという批判はあっても、摂政政治によって藤原時代の全盛期をきずいたからです。藤原時代には、藤原氏の栄華がもとになって、浄土芸術をはじめ彫刻、絵画、建築などの優美な芸術が発達しました。

文:大塚夏生
絵:岩本暁顕
編集プロデュース:酒井義夫

 
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