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豊臣秀吉

表紙
豊臣秀吉(1536-1598)
農民から武士、関白にまで出世して念願の天下統一をなしとげた、知恵と勇気の戦国大名。

「豊臣秀吉」読書の手びき

 織田信長が力で敵をねじ伏せたのに対して、秀吉は知力にものをいわせて多くの戦いに勝ち、やがて天下を統一しました。自分が低い身分から身を起こしたためか思いやりの心が深く、人びとをひきつける魅力があったといわれます。幸運と才覚と努力で天下を取った秀吉は、多くは信長のやり残したものをひきつぎ、楽市楽座の発展、検地による税制の確立などによって、そのごの幕藩体制への基礎をきずきました。しかし、戦争のない統一国家への指向は是とされても、近世へ歩み始めようとする日本にとって、災いとなった施策も少なくはありませんでした。その第1は、武器を取りあげてしまう刀狩などによって農民を無力化し、あわせて武士、町民、農民の身分差別を明確にして封建社会の体制を具現したことです。出世物語としての太閤記には、たしかに多くの教訓があります。しかし、人物だけを見つめるのではなく、巨視的に歴史の流れをとらえることも、忘れてはならない重要なことです。

文:松下忠實
絵:岩本暁顕
編集プロデュース:酒井義夫

 
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