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一休


一休
(1394-1481)
形式と権威をきらい、庶民を友とし、心のむくまま超然と生きぬいた室町時代の禅の名僧。

「一休」読書の手びき

一休は、禅宗の僧です。座禅によって悟りをひらこうとする禅宗は、6世紀の初めにインドの僧の菩提達磨が中国へ伝え、日本へは鎌倉時代の初めに栄西(臨済宗)と道元(曹洞宗)によってもたらされ、武家社会を中心に普及しました。ところが、室町幕府で足利氏が専横をきわめるようになったころには、禅僧たちは官位の高い貴族や武士の権力に追従して、修行や布教よりも自己の出世をむさぼるようになっていました。一休宗純は、こうした禅宗の腐敗に心を痛めて、奇行や狂詩で、人びとをいましめました。寺にいて口先だけで経文を説くよりも、自分の身を世にさらして、人生の無常を民衆に悟らせようとしたのです。奇行も狂詩も、禅僧としてのきびしい修行に裏うちされたものであったことは、とうぜんです。『一休頓知咄』は江戸時代の初めに作られたものですが、たとえつくり話でも、笑い捨てることのできない人の道の教えが、いくつも秘められています。

文:浜祥子
絵:鮎川万
編集プロデュース:酒井義夫

 
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