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伊能忠敬

表紙
伊能忠敬(1745-1818)
50歳から学問を始め、日本各地を歩いて日本地図の完成をめざした江戸時代の地理学者。

「伊能忠敬」読書の手びき

 伊能忠敬は、73年の生涯のなかで、ふたつの人生を生きたといってもよいかもしれません。少年時代に、商家の伊能家へ養子として入った忠敬は、傾きかけていた伊能家を努力と才覚で再興し、公益事業にも力をつくして50歳までをすごしました。そして50歳をすぎてから一念発起して、およそ20年、こんどは測量家として名をとどろかせました。忠敬の人間的な魅力は、この一念発起にあります。といっても、50歳になって急に思い立ったのではありません。少年時代から、計算すること、星を見ること、距離を測ることなどに興味をもっていたからこそ、第2の人生を成功させることができたのでしょう。このことは、人間が意志をつらぬくことのたいせつさを教えています。死ご、仲間にひきつがれて完成した『大日本沿海輿地全図』は、外国人もおどろくほど正確なものでした。これも、忠敬の、なみはずれた意志が結実させたものにちがいありません。

文:はやしたかし
絵:もりとう博
編集プロデュース:酒井義夫

 
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