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小林一茶


小林一茶
(1763-1827)
農家に生まれ、子ども、動物、自然を愛して素朴な歌をよみつづけた、江戸時代の俳人。

「小林一茶」読書の手びき

日本古来からの文芸のひとつに、短歌の上と下の句を交互によみつらねる連歌と呼ばれるものがあります。俳句は、この連歌の発句を独立させて興り、松尾芭蕉、与謝蕪村らをへて一茶へ受けつがれてきたものです。一茶は、同じ俳人でも生活詩人と評されています。継母、異母兄弟との葛藤、4人の子どものつぎつぎの死、さらに妻の死などが続き、いやでも自分の生活を見つめざるを得なかったのでしょう。子どもの情景をうたったものが多いのも、わが子の死の悲しみを胸にいだいていたからです。一茶は、俳句をよむことをとおして、自分の苦しみとたたかったのではないでしょうか。童謡のような句のなかにも、はっとさせられるような人生観があります。それが芸術です。だから一茶の句は、いちど口にして、さらに時間をおいて、もういちど口にしてみると、ほんとうのものが伝わってきます。技巧的な歌ではなく、心の歌だからです。

文:吉田健
絵:鮎川万
編集プロデュース:酒井義夫

 
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