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板垣退助

表紙
板垣退助(1837-1919)
自由民権運動の先頭に立ち、国会開設を実現して政党政治の道を開いた、明治の政治家

「板垣退助」読書の手びき

 退助が亡くなったのは1919年(大正8年)です。江戸末期から明治・大正と生きぬき、82歳の高齢で世を去りました。政界を退いてからは、労働者の保護・盲人教育などの社会福祉事業にたずさわりました。晩年はかなり貧しい暮らしぶりであったといわれています。栄誉と財産づくりに奔走する政治家たちに比して、どうも退助は政界をうまく泳ぐことができなかったようです。それにつけても、納得のいかないのが明治15年のヨーロッパへの外遊です。その年の春、退助は暴漢に襲われました。政府のしわざであると信じて疑わない党員たちは、激怒し暴力に訴えようとしました。言論を旨とする自由党にとって大事なときです。そんな状況のなかで黒い噂を押してまで旅立った退助の本心はなんだったのでしょうか。のちに伯爵の位を受けたとき、それが返上できないと知ると「伯爵は一代限りのもの」と言い放つほどの清廉潔白さです。してみれば、外遊の謎は深まるいっぽうです。

文:有吉忠行
絵:岩本暁顕
編集プロデュース:酒井義夫

 
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