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ジャンヌ・ダルク

表紙
ジャンヌ・ダルク(1411か12-1431)
百年戦争でイギリスの侵略からフランスを救いながらも、火あぶりの刑に処せられた聖女

「ジャンヌ・ダルク」読書の手びき

 中世のヨーロッパにおいてキリスト教会の権威は絶大なものでした。キリスト教が人々の心を支配し、ローマ・カトリック教に異議を唱える者は、たちまち異端者として非難され宗教裁判にかけられました。この裁判で命を奪われた人の数は決して少なくありません。ジャンヌ・ダルクはその最年少の犠牲者です。わずか19歳の少女に対する残酷な火刑は、フランス人の心にあわれみの情を抱かせ、そののちジャンヌは信仰心、愛国心の象徴としてフランス史に君臨することになります。まず「聖女」として熱狂的に迎えられ、「魔女」として処刑され、名誉回復裁判により再び「英雄」としてたたえられたジャンヌはまさに、歴史になぶられ翻弄された少女といえます。こうした人間の過ちの数々を内包しつつ、時はとどまることなく流れていきます。純粋な殉教者としての少女の生は、連綿と続く悠久な歴史の中で、人間のなす行為の意味を無言のうちに教えてくれるような気がします。

文:浜 祥子
絵:鮎川 万
編集プロデュース:酒井義夫

 
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