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ジャンヌ・ダルク 1/7

ドンレミ村の少女

イラスト いまから550年ほどまえ、フランスとイギリスは百年戦争とよばれる長い戦いのまっただなかにありました。イギリスの目的は、フランスを征服して合併王国をつくり、イギリスの王がその王位につくことです。

 フランスの首都パリが占領され、国土の北部がほとんどイギリスの手におちると、フランスの勢力はいっぺんに衰えを見せはじめました。

 イギリス兵は、地方の小さな村にも現われるようになり、田畑を荒しまわっていきます。ドンレミ村では、襲われた場合を考えて、小麦粉やジャガイモを、村の秘密の場所に運びはじめました。

 「おとうさん、ドンレミ村も戦争になるの?シャルル皇太子はどうなるの?殺されてしまうのかしら」

 少女ジャンヌは、小さいときからシャルル皇太子が好きでした。まだ20歳そこそこのフランスの王子さまが、イギリス軍につかまって殺されてしまうかもしれないと思うと、13歳の小さな胸はいたみます。

 「シャルルさまが、せめてブルゴーニュ公の半分でも力がありゃあ、こんな負け戦にはならんだろうに……」

 ブルゴーニュ公は、フランス王家に反抗してイギリス軍と手を結び、イギリスのヘンリー5世を王として迎え入れたにくい人です。ヘンリー5世が亡くなると、生後9か月のヘンリー6世がイギリスとフランス両国の王として即位しました。

「フランスに国王が二人いるなんておかしいわ。ヘンリー6世は、うその王さまでしょう。シャルルさま、早く王になる式をあげてしまえばいいのに」

 「フランス王となるための戴冠式は、むかしからずっとランスの大寺院で行うことになっているからね。イギリス軍の中をくぐりぬけて、いま、ランスまでいくのは命を捨てるようなものだよ」

 皇太子は都を追われ、いまはシノンの城にいました。

 シノンとランスがあまりにも遠いので、ジャンヌはためいきが出てきます。

 「一日も早く戦争が終わって、シャルルさまが王さまになれますように」

 ジャンヌは、毎日、神さまに祈りました。

 農業をいとなむ両親が、とても信心深かったのでジャンヌもその影響を受けたのでしょう。聖書の話を聞くことが大好きで、熱心に教会に通いました。草原に教会の鐘の音が聞こえてくると、そこにひざまずいて、祈りをささげました。そんなジャンヌを、村の人たちは「聖女ちゃん」と呼びました。


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