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渡辺崋山

表紙
渡辺崋山(1793−1841)
武士、画家、思想家として、日本の新しい時代を夢見て強く生きた、江戸時代末期の偉人。

「渡辺崋山」読書の手びき

 1839年、幕政を批判した蘭学者たちが江戸幕府に捕らえられるという事件が起こりました。蛮社の獄とよばれている事件です。渡辺崋山は、この獄に連座してちっ居を命じられ、やがて自ら命を絶ちました。鎖国による日本の国際的なおくれを憂えたばかりに、いわば、思想弾圧によって誅されたのです。死を覚悟したとき「数年たって世の中が変わったら、悲しんでくれる人もあろうか」と、弟子に書き残したということです。また、わが子への遺書には「祖母につかえよ。母に孝をつくせ。父は罪人である。墓碑を建てるな。不忠不孝 渡辺登」と記しています。崋山は、自分の行ないは信じていました。でも、肉親が、罪人の子として、母として、祖母として生きていかねばならないことを思うと、やはり悲しくてしかたがなかったのではないでしょうか。他人への思いやりが深かったという崋山の心がしのばれます。崋山の死ご17年をへて、日本はやっと開国へふみきりました。

文:松下忠實
絵:渡辺勝巳
編集プロデュース:酒井義夫

 
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