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コッホ


コッホ
(1843-1910)
原因のわからなかった病気をつぎつぎに解明し、人類を苦しみから救った細菌学者。

「コッホ」読書の手びき

「私が死んでも、大げさな葬儀はしないでください」。研究に疲れはてて死の床に伏したコッホは、このように言いながら息をひきとったといわれます。このときコッホの胸のうちには「私は自分の人生をせいいっぱい生きただけなのだから」ということばが、かくされていたのではないでしょうか。コッホは、フランスのパスツールと並んで、世界の細菌学の祖といわれています。とくにコッホは、細菌を純粋培養して、病原菌であることを正確につきとめる検査方法を完成させて、伝染病研究の土台をつくりました。でも、それは決してはなやかなものではなく、地味で根気のいる研究によって初めて得られたものでした。コッホは、自分の名声のために微生物の研究にとりくんだのではありません。人類を伝染病から救うために、ひたすらに生きたのです。自分を犠牲にして、目には見えないものとたたかってきた人びとのことを、わたしたちは忘れてはならないようです。

文:有吉忠行
絵:鮎川万
編集プロデュース:酒井義夫

 
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