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コッホ 1/6

昆虫がだいすきな少年

 「人類を伝染病からすくった世界の恩人だ」

 およそ100年ほど前からこのようによばれてきたローベルト・コッホは、生涯、顕微鏡をのぞきつづけて、さまざまな病原菌を発見したドイツの医学者です。

 1843年、ドイツ中央部のクラウスタールという小さな鉱山の町で生まれたコッホは、13人兄弟のなかでひとりだけ、かわった少年でした。

 「ぼくは、大きくなったら船乗りになるんだ」

 小さいころは、まだ1度も海を見たことがないのに、船乗りになって、遠い外国へ渡ることを夢見ていました。ところが小学校に入ると、こんどは昆虫採集にむちゅうになり、鉱山のかんとくをしていた父に虫めがねをもらってからは、1日じゅうでも、昆虫の観察を楽しむようになりました。

 「部屋がくさくて困るじゃないか。へんなやつだ」

 そのうち子ども部屋で、カエルやネズミまで飼うようになったので、兄弟は、みんなおこりだしました。

 でもコッホは、なにをいわれてもへいきでした。

 「ふしぎな形をしてるだろう」「ええ、ふしぎだわ」

 コッホは、エミイ・フラーツという少女と、くさい子ども部屋で、毎日昆虫と動物の観察をつづけました。

 やがて中学校を卒業すると、コッホの理科の才能をおしむ教師のすすめで、ゲッチンゲン大学へ進んで医学を学びはじめました。

 「ほんとうは商人にさせたかったのに、父も母も苦労して、ぼくを大学へ行かせてくれているのだ」

 4年生のときには大学の懸賞論文で1等をとるほど、勉強にはげみました。なかでも興味をもったのは、顕微鏡で、目に見えない微生物を研究することでした。

 虫めがねをのぞいていた少年は、こうして、顕微鏡をのぞく医者へと成長していきました。


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