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孔子 1/6

3歳のとき父と死に別れて

 元気のない男に、老人がたずねました。

 「どこか、からだが悪いのですか」

 すると,男は,悲しそうなこえで,答えました。
 
 「いいえ、からだは、どこも悪くはありません。自分の力がたりないのが、くやしくてしかたがないのです。そのうえ、あやまちを、おかしてしまいました」

 これを聞いた老人は、男の目をみつめながら、しずかに口をひらきました。
 
 「自分に力があるかないかは、ほんとうに全力をつくしてみて、はじめてわかるものです。あなたは、それをしましたか。力のかぎり努力もしないうちから、自分はだめだと思うのは、たいへんはずかしいことですよ。それに、あやまちは、だれにでもあるものです。あやまちをおかさない人間なんて、ひとりもいません。あやまちをおかしたら、あやまって改めればよいのです。あやまちを改めないことこそ、ほんとうのあやまちですよ」

 耳をかたむけていた男の目から、ひとすじのなみだがこぼれました。男が、このときの老人が孔子だったことを知ったのは、それからずっとあとのことでした。

 孔子は、中国の魯という国で生まれました。紀元前551年、いまから約2500年まえのことです。

 父は、戦争でなんどもてがらをたてた勇かんな武士でした。母は、争いごとをにくむ、気だてのやさしい人でした。

 孔子が生まれたとき、父も母も、すこしびっくりしました。赤んぼうの頭のまん中がぽこんとくぼみ、まわりが丘のようになっていたのです。

 「この子は、いまに、りっぱな人に育つぞ」

 おいわいにきた人びとは、赤んぼうのふしぎな頭を見て、みんなこういいました。

 それから3年めに父は亡くなり、おさない孔子は、母の手ひとつで育てられることになってしまいました。


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