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マルコ・ポーロ 1/5

東へむかった17歳の少年

イラスト  モンゴル帝国をきずいたチンギス・ハンが亡くなって、およそ40年のちの1269年のことです。

 イタリヤ北部の水のみやこベネチアに住む、15歳の少年が、生まれて初めて、父親と手をとりあいました。少年はマルコ・ポーロといいます。前の年に母親を失い、ひとりぼっちで、父親の帰りを待っていました。

 まだマルコが、母親のおなかの中にいるころ、父のニコロ・ポーロはその兄といっしょに、船で商売の旅にでました。ところが、着いた国ぐにで戦争が起こったためもどれなくなり、ふたりは東へ旅をつづけ、元の国(いまの中国)へ行きました。そのころの元は、チンギス・ハンの孫のフビライ・ハンが国をおさめていました。

 フビライ・ハンは、国じゅうにキリスト教を広めたいと考えていました。そこで、元の国ですごしていたニコロと兄のマテオに、ヨーロッパからキリスト教の学者を100人つれてくることと、エルサレムのキリストの墓にともされているランプの聖油を、少しもらってくることをたのみました。使命をうけたニコロとマテオは、15年ぶりにベネチアに帰ってきました。

 マルコが、母に聞かされて夢にまで見ていた父に会えたのは、このときです。

 マルコは、さみしかった日のことは忘れて、父が語る遠い国のめずらしい話に、目を輝かせました。

 「ぼくも、海のむこうの知らない国へ行ってみたい」

 こう思うと、マルコはもうたまらなくなり、元へもどるじゅんびをしている父に、自分もつれて行ってくれるようにたのみました。

 それから2年ののち。

 白い帆を風にふくらませてベネチアの港をでていく船に、胸をはった17歳の少年マルコが乗っていました。

 「どんなにきけんなめにあっても、負けるものか」

 マルコは、はてしなく広がる海と空に、勇気をもって旅をつづけることをちかいました。

 マルコ、ニコロ、マテオの3人は、まず地中海の東がわにあるエルサレムとアクレの町へ行き、フビライ・ハンにたのまれた聖油と、キリスト教の学者をあつめました。でも、見知らぬ国へ行くことをしょうちした学者は、わずかに二人だけでした。ところが、この二人も、アクレを出発してまもなく、近くの国で戦争が起こったのを知ると、きけんを感じて逃げてしまいました。

 「学者はいなくなったが聖油がある。それに教皇からフビライ・ハンへの、たいせつなてがみもあずかっている」
  3人は、元の国にキリスト教を広めるためのローマ教皇の使いのやくめもになって、そのまま東へむかいました。1270年、こうしてマルコ・ポーロの東の国への長い長い旅が始まりました。


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