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ナイチンゲール

表紙
ナイチンゲール(1820-1910)
看護婦になりたいと、自分の意志をつらぬき通し、たくましく生きたクリミアの天使。

「ナイチンゲール」読書の手びき

 めぐまれた家庭に育ったナイチンゲールは、自分がしあわせであればあるほど、不幸な人のことを考えました。そして、自分からすすんで、そのころはまだ下等な職業だとされていた看護婦の道にとびこみました。同情や口先だけの思いやりではなく、広く深い愛で、人のために自分のいのちを投げだしました。ここに、ナイチンゲールの偉大さがあります。自分は「なにをしたいか」ではなく「なにをすべきか」を主体的に考え、自分の人生に力いっぱいいどんでいきました。たんなる心やさしさだけで果たし得たのではありません。自己を犠牲にする勇気が必要だったはずです。戦場の病院で「めぐみの天使だ」と尊敬されるおこないができたのも、この自己犠牲の精神が、ナイチンゲールの体内にしっかりと宿っていたからに、ちがいありません。多くの人が自分のためにだけ生きようとする現代に、人間が苦しんでいる人のために手をさしのべることのとうとさを教えられます。

文:有吉忠行
絵:田中 潔
編集プロデュース:酒井義夫

 
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