1896年12月10日、ダイナマイトを発明したひとりの化学技術者が、イタリアのサン・レモで亡くなりました。そして5年ごの1901年から、その化学技術者が残したばく大な財産をもとにして、人類の発展と世界の平和のためにつくした人に、すばらしい賞がおくられることになりました。それは、いまも世界最高の賞とされているノーベル賞です。
このノーベル賞を世に残したアルフレード・ノーベルは、1833年に、スウェーデンの首都ストックホルムで生まれました。
父は、優秀な建築家でしたが、ノーベルが生まれたころは、ほとんどお金にはならないような、機械の研究や発明にむちゅうになっていました。そのうえ、ノーベルが4歳のとき「かならず成功してみんなをよびよせる」と約束して、ひとりでロシアへ渡ってしまいました。
ストックホルムに残されたノーベルと、ふたりの兄と、そして母との4人の生活は、ときには小学生の兄たちもはたらかなければならないほど、苦しいものでした。
しかし、母も子どもも、父を信じていました。だから、母はいつも明るく、兄弟3人はいつもなかよく、あたたかい心でがんばりつづけました。
やがて5年が過ぎ、ノーベルは小学校の2年生になりました。ある日のこと、ついに成功した父から、待ちに待った便りがとどきました。
「うわーい、おとうさんに会える。外国へも行ける」
ノーベルは、母にとびついてよろこびました。
「みんな、よくがんばったわね。もう安心だわ」
母は、元気に育ってくれた子どもたちに感謝しました。そして1842年の秋、家族は、ストックホルム港からバルト海へ乗りだしました。
