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織田信長

表紙
織田信長(1534-1582)
戦乱の世に幕府を滅ぼし、天下統一を夢にみながら、こころざし半ばで倒れた悲運の武将。

「織田信長」読書の手びき

 「人生50年、下天のうちにくらぶれば、夢幻のごとくなり」。この詩をこのんだ織田信長は、まさしく、あと2春秋で50歳というときに、本能寺の火炎に包まれて果てました。生涯のほとんどを戦いに明け暮れた信長は、勇猛果敢ではあったが、冷酷傲慢な武将だったといわれます。天下取りのためには、敵がきずいたものは徹底的に破壊し、大量虐殺なども平気で行いました。そして、全国統一を目前にして、自分のふところにいた家臣の謀反に倒れました。まさに、戦国武将の典型だといえます。討たなければ討たれるという時代を、疾風のように駆け抜けたのです。しかし、戦いのかたわら、都市をつくり、交通や商業を盛んにし、イエズス会員を保護してヨーロッパ文化の吸収につとめるなど、新しい社会の建設にもしっかり目を向けていました。もし、あと10年生きていたら、おそらく天下統一の夢を果たしたにちがいありません。夢半ばにして露と消えていった戦国武士たち。その武士の心を思いやることも、たいせつなようです。歴史は、人間1人1人がつくってきたのですから。

文:松下忠實
絵:渡辺勝巳
編集プロデュース:酒井義夫

 
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