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パスツール

表紙
パスツール(1822-1895)
目に見えない微生物を追いつづけ、社会のために生涯をささげたフランスの大科学者。

「パスツール」読書の手びき

 パスツールは、若いころ妹にあてた手紙のなかで、自分の人生を充足させるものは、強い意志の力と、たえまない仕事と、それによってもたらされる成功だ、と語っています。このことばのとおりパスツールは、たとえ半身不随の病気に見舞われても研究をすてることはなく、死の直前まで微生物を追いつづけました。ひとつのことに成功すれば、さらにそれを土台にして、新しい実験へ、新しい発見へとつき進みました。それを、科学者として当然だといってしまえばそれまでですが、パスツールには、科学を愛する心と、目に見えない微生物に困っている人びとのためにという、あたたかい人類愛がもえていたのではないでしょうか。科学といえば、文明社会に生きる現代人は、宇宙科学などのはなやかなものだけを想像しがちです。でも、パスツール研究所ではいまも微生物の研究がつづけられているように、地味で目立たない科学の世界があることを忘れてはなりません。

文:有吉忠行
絵:鮎川 万
編集プロデュース:酒井義夫

 
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