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ロダン

表紙
ロダン(1840-1917)
人びとの無理解に負けず,人間の感情と躍動する生命を,力強く表現した大彫刻家。

「ロダン」読書の手びき

 ロダンは、いっさいの妥協をこばみました。糧に変えるための芸術、名誉を手に入れるための芸術を、真底からけいべつしました。伝統を尊重しても、その伝統にひざまづいてしまうことをきらい、つねに、おのれの心による真実の探求を忘れませんでした。人に理解されないことや、社会の批判などは恐れず、「真実こそ美である」という信念をつらぬきとおしました。そして、目に見えたものを形どっていた写実的な芸術をぬけだして、心に感じたものを表出する深い芸術の世界へ到達しました。ロダンが、19世紀から20世紀にかけての世界最大の彫刻家と評されるようになったのは、こうして、近代彫刻への道を開拓したからです。「いま、人は笑っていても、いつかは、きっと、目を見はるときがくる」と言ったロダンのことばは、けっして、ごうまんからでたものではありません。天才ともいえる芸術家の魂が、そういわせたのです。ロダンは、自分自身が「考える人」でした。

文:有吉忠行
絵:もりとう博
編集プロデュース:酒井義夫

 
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