オンラインブック せかい伝記図書館
西郷隆盛

表紙
西郷隆盛(1827−1877)
2度の島流しをのりこえて日本を開き、西南戦争で悲しく散っていった明治維新の英雄。

「西郷隆盛」読書の手びき

 西郷隆盛は、朝廷に弓をひいた賊軍の将として死んでいきました。しかし、たとえ賊軍の汚名は受けても、近代日本の政治史のなかでは、人びとに、もっとも広く尊敬され愛されています。それは、勝海舟が「西郷にかなわないのは、きもったまの大きさと、自分のことを捨てて人のことだけを考える真心の深さだ」と語ったといわれるように、隆盛には、だれにもまさる腹の太さと誠実さがあったからではないでしょうか。2度の島流しも、腹のすわった考えと行動から、結果として生まれたものにすぎません。私学校の若者たちの暴発に身をまかせたときの隆盛の心には、若者たちへの深い愛があったはずです。隆盛の強さを支えたものは、人と藩と国への純粋な愛だったといってもよいのかもしれません。海舟との約束によって果たされた江戸無血開城も、まぎれもなく、腹の太さと愛の深さの表われです。隆盛が好きだった「敬天愛人」という言葉が、そのまま人柄を伝えています。

文:有吉忠行
絵:渡辺勝巳
編集プロデュース:酒井義夫

 
すすむ