オンラインブック せかい伝記図書館
シューベルト


シューベルト
(1797−1828)
ロマン派の美しい名曲を残し、友だちの愛につつまれながら短い生涯を閉じた歌曲王。

「シューベルト」読書の手びき

シューベルトは、夜、寝るときにも眼鏡をかけていたということです。それは、ベッドの中でも、美しい曲が泉のようにあふれ、それを書きとめておくためだったと伝えられています。18歳のとき、1年間に、145曲の歌曲のほか、ミサ曲、交響曲なども作曲したというのですから、シューベルトの心の泉が、いかに豊かだったかがわかります。しかし、家庭教師として伯爵家へ行ったことをのぞけば、貴族社会とはほとんど交わらなかったため、生涯、貧しさに追われつづけました。無数の名曲を生みだしておきながら、死の2年まえに、収入を得るためにオーストリア皇帝の宮廷礼拝堂副楽長を自ら望んだほどです。ところがこの副楽長の仕事も実をむすんではいません。家もなく、妻もなく、お金もなく、シューベルトは幸せのうすい生涯を閉じました。でも、心に美しい泉をもっていたシューベルトは、ほんとうは、だれよりも、幸せだったのかもしれません。

文:上村勝彦
絵:鮎川万
編集プロデュース:酒井義夫

 
すすむ