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雪舟


雪舟
(1420−1506)
中国の自然に学び、絵画ひとすじに生きて日本の水墨画を完成させた、室町時代の画僧。

「雪舟」読書の手びき

雪舟は幸運な人でした。友人に恵まれ、師に恵まれ、後援者に恵まれ、チャンスに恵まれ、生涯、順調な道を歩みました。しかし、一方的に幸運が雪舟のところにころがりこんできたわけではありません。めぐり合わせたチャンスに対して、いつも誠実に応えてきた結果なのです。足利将軍家のおかかえ絵師の宗湛が、からかみの絵を描いている途中で死んでしまったとき、続きが雪舟に命じられました。大変なチャンスです。多くの絵師が、宗湛のあとをねらってしのぎをけずっていました。しかし、雪舟は「立派な御殿の絵を僧が描くのはふさわしくないでしょう」と言って断っています。一か所にとどまって、将軍家の命ずるままに絵を描くことなど雪舟にはたえられなかったのでしょう。大陸の壮大な自然に接したことで「自然こそ師」という考えが雪舟の全身にしみこんでいたのです。この芸術的感性を持って生まれてきたことこそ、雪舟にとって幸運の最たるものでした。

文:浜祥子
絵:鮎川万
編集プロデュース:酒井義夫

 
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