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シートン

表紙
シートン(1860-1946)
美しい大自然と野生の動物たちを友だちにして生き、すばらしい動物物語を残した作家。

「シートン」読書の手びき

 シートンは、自叙伝のなかで自分のことを、画家、博物学者とよんでいます。しかし、書き残した動物物語にふれると、画家、博物学者などということは忘れて、ひたすらに心をうたれてしまいます。それは、人間とまったく同じように、愛しあい、怒り、悲しむ野生動物たちの姿が、あまりにも生き生きとえがかれているからです。動物はやはり動物なんだなどという、人間のおごった考えは、みごとに打ち砕かれてしまいます。そして、人間と動物は兄弟なんだ、生きているものの命の価値は、すべて同じなんだという考えへ昇華させられてしまいます。シートンは、機械文明が栄えようとする時代に生きながら、ただひとすじに自然を愛し続けました。インディアンの生活にあこがれたほどです。シートンは、つくりあげられた人間の社会よりも素朴な自然のなかにこそ、真の愛の世界があることを、だれよりも深く知っていたのではないでしょうか。

文:有吉忠行
絵:鮎川 万
編集プロデュース:酒井義夫

 
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