オンラインブック せかい伝記図書館
シートン 1/5

偉大なオオカミ王ロボとの戦い

イラスト アメリカ合衆国南西部のニューメキシコの谷に、年をとった、ゆうかんでとてもかしこいオオカミがいました。近くの牧場のカウボーイたちは、オオカミ王ロボとよんでいました。

 ロボは、なかまを従え、毎晩のように牧場にしのびよってきては、牛をおそいました。

 「ロボをとらえなければ、牛は、みんな殺されてしまう」

 カウボーイたちは、なんどもなんども、たくさんのわなをしかけました。しかしロボは、人間が考えたどんなわなにも、かかりませんでした。

 そして、ロボたちと人間との戦いは5年もつづきました。ある日、ロボは、ついに生けどりにされてしまいました。妻のオオカミがとらえられ、悲しみにいかりくるったロボが、妻を助けようとして、わなにかかってしまったのです。

 とらわれたロボは、もう助からないとさとったかのように、けっしてほえたりしませんでした。人間があたえた水や肉には見むきもせず、谷のほうをじっと見つめたまま、オオカミ王らしく、静かに死んでいきました。


 この『オオカミ王ロボ』をはじめ、数おおくの動物物語を書いたアーネスト・トンプソン・シートンは、1860年にイギリスで生まれました。父は、12そうの船をもつ商人でした。しかし、シートンが5歳のとき、事業に失敗して、一家は大西洋を越え、カナダへ移住しました。

 シートンのほかに12人もの子どもをかかえた大家族は、オンタリオ州のリンゼーの町から6キロメートルほどはなれた森林で、開拓者の生活を始めました。

 初めて見る、さまざまな動物。むねがわくわくするような鳥の巣さがし。ストーブの火があかあかと燃える、丸木造りの学校。大きなクマと戦ったという、年とったりょうしの、はらはらする話。

 シートンにとって、開拓地での生活は、このうえなくすばらしいものでした。でも、わずか4年で、この動物の森とは別れなければなりませんでした。父や母には、荒あらしい開拓の仕事は、むいていなかったのです。


もどる
すすむ