オンラインブック せかい伝記図書館
田中正造

表紙
田中正造(1841−1913)
足尾銅山の鉱毒に苦しむ農民のために立ちあがり、公害問題に命をかけて闘った政治家。

「田中正造」読書の手びき

 下野国(栃木県)の村名主の家に生まれ、17歳で父のあとをついで名主となった田中正造は、27歳のとき投獄されています。農民たちを貧しさから救うために、領主の乱れた政策をはげしく批判したからです。30歳のときには、上役の暗殺の容疑でふたたび投獄されています。正造の生涯は、権力と戦うことから始まったといってもよいでしょう。そして、衆議院議員となってからは、その政治生命を、渡良瀬川流域の足尾銅山鉱毒事件にそそぎつくしました。しかし、事件は、鉱業停止を請願する被害者への弾圧によって未解決に終わり、正造の血をはくほどの努力は、結果的には実を結びませんでした。しかし、政治家としての軌跡は、筆舌につくしがたいほど偉大です。これほどまでに自分を無にして生きた政治家は、史上に例をみなかったといっても過言ではないでしょう。正造の崇高な生涯は、そのまま、さまざまな公害を生んでいる現代へのきびしい警鐘となっています。

文:浜 祥子
絵:福田トシオ
編集プロデュース:酒井義夫

 
すすむ