オンラインブック せかい伝記図書館
源頼朝

表紙
源頼朝(1147-1199)
勇気と政治力で、日本で最初の武士による政治(鎌倉幕府)をうちたてた源氏のとうりょう。

「源頼朝」読書の手びき

  源頼朝は、父義朝を殺した平家を滅ぼして征夷大将軍となり、鎌倉に幕府を開いて武家による独立政権をうちたてました。でも、その経緯が、あまりに武力的、暴力的であったことは明らかです。宿敵の平氏を討ったことはとうぜんであったとしても、平家との戦いに最も功のあった弟の範頼、義経を殺し、さらに、義経を殺させた藤原氏までも裏切って討ちとってしまいました。その非情さは、おどろくばかりです。頼朝は、決断力にはすぐれていたが人情は薄かったといわれているのは、おそらく事実にちがいありません。しかし、武家社会の歴史をふりかえってみると、肉親や友を抹殺することなど頼朝に限ったことではなく、むしろ、日常茶飯事ともいえるものでした。ここに、権力闘争の悪を見ることができます。平家が滅んだあと、源氏も頼朝の死ごおよそ20年で絶えてしまいました。これら武士団の盛衰は、権力と独裁は必ず墓穴を掘るものであることを、雄弁に、証明してくれています。

文:大塚夏生
絵:木村正志
編集プロデュース:酒井義夫

 
すすむ