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福沢諭吉

表紙
福沢諭吉(1835-1901)
人間の自由と平等の思想を広め、独立独歩の生きかたをすすめた近代日本の精神的指導者。

「福沢諭吉」読書の手びき

 諭吉は『福翁自伝』の中で「門閥制度は父のかたきでござる」と述べています。とびぬけて学問のあった父親が、厳しい身分制度の重圧の中で、うだつのあがらぬ一生を終えた……。その無念さと憤りが冒頭のことばとなって出てきたのでしょう。このことばが、まさに諭吉の人生を決定づけています。封建社会の身分制度・陋習から人間ひとりひとりが解放され、脱皮して自由になったとき初めて、人間は人間として立つことができると諭吉は考えました。その信念は、さまざまな形となって啓蒙運動へと発展していきます。慶応義塾の創立、多くの著作や翻訳の仕事、新聞の創刊、演説館の設立、数えていったらきりがないほど、諭吉は啓蒙・教育に力を注ぎ続けます。諭吉の残した数多い業績の中で、最大のものは、国民の目を覚まし、近代文明の光が差しこむ窓を開いてくれたことです。政府につかえず、在野の教師として終始してこそ、成し得た大事業でした。

文:浜 祥子
絵:岩本暁顕
編集プロデュース:酒井義夫

 
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