オンラインブック 子どもは語学の天才!
4/13

「おぼえても忘れてしまう」のウソ

 幼児の才能教育を実践してきたことで著名な鈴木鎮一氏は、著書の中でうぐいすが美しい鳴き声を身につける過程を、次のように記しています。
 美しい声でうまい鳴き方をする、いわゆる名調子のうぐいすを育てるための方法が長野県に伝わっている。春、野生のうぐいすの巣からひなをとって帰り、1か月ほど先生となる親うぐいすのかたわらで、毎日名調子の声を聞かせる。このひな鳥は、成長して次の春を迎えると、先生とうりふたつの見事な鳴き方をするのである。(『幼児の才能教育』より要約)
 このことから、うぐいすの声帯ができあがるタイムリミットが生後1か月であることがわかります。人間の赤ちゃんが言葉を身につけるタイムリミットも当然あるはずですが、動物たちよりはるかに複雑な進化をとげている頭脳を、簡単な実験で結論づけるわけにはまいりません。そのため、人々のさまざまな体験から推察を行なうことになります。
 これは私の友人が語ってくれた話です。3歳になる子どもの話し言葉の中に、時々いなかなまりの言い方やアクセントが出てくるので、共通語しか話さない両親はふしぎに思ったそうです。よく考えてみると、その子が生まれてまもなく、いなかにある実家に半年ほど預けていたことを思い出しました。「ものも言えないし歩くこともできない頃のことなのに、ほんとに驚きました」といっていたのが印象的でしたが、これと似た例は、多くの人に経験があるのではないでしょうか。
 大阪や東北などの方言でも、生まれた時からその地方で育った人でないと、あのようなデリケートなアクセントはできないようです。それは、うぐいすのひなと同様に声帯が環境によって変化していくために他なりません。
 したがって、「いつごろから英語を始めさせたらよいのか」に対する答えは、すでにのべてきた脳の発達のしくみを考えれば、「早いほどいい」ということしかありません。
 ひと昔前までは、「小さい頃におぼえた外国語は、早く身についただけ忘れるのも早い」といわれ、この説を多くの人が信じて疑いませんでした。しかし、大脳の分野の研究がこれほどまでに進んだ現在では、幼児期にインプットされた情報は消え去ることなく、大脳の言語中枢にしっかり保管されていることがわかっています。多岐にわたる貴重な研究データも紹介されるようになって、古い説が死説といえるまでになりました。


もどる
すすむ