オンラインブック 子どもは語学の天才!
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バイリンガルの子どもの育てかた

 よく知られているように、カナダの国語は英語とフランス語です。そのため、英語とフランス語の2か国語を自由にあやつる「バイリンガル」の子どもたちがたくさんいます。モントリオール脳神経科学研究所のペンフィールド博士は、そんなバイリンガルの子どもたちを3年間にわたって研究し、次のようにまとめています。
 幼児は生まれてから数年の間に、耳で聞き、自分が真似てしゃべったことを記録する言語の神経回路を頭の中に形成する。これらは、運動回路、思考回路などそのほかの神経回路と密接につながっている。外国語をそのままの形(直説法)で学ぶ子どもたちは、6歳以下であれば頭の中にもうひとつの回路、第2言語回路が開けるため、2か国語でも3か国語でも正しい発音で自由にしゃべれるようになる。たとえば6歳以下の子どもで、家族とは英語、学校ではフランス語、お手伝いさんとはドイツ語で話す環境にあったとしたら、それぞれを難なくおぼえてしまう。幼児には頭の中に、ことばを切り換えるスイッチがあるからだ。ところが6歳をすぎると、この切り換えスイッチがはたらかなくなり、聞いた外国語をいちいち翻訳する作業を通さないと(間接法)、第2外国語を学ぶことができなくなる。大人の頭がいかに優れていても、ことばに関する能力に限っては、幼児に遠く及ばない。
 英語の早期教育に反対する人の間では、早期の外国語教育は母国語の発達をそこなう、母国語教育こそ先決だという意見があります。しかしそれは、本当のことなのでしょうか。
 やはりカナダのビールとランバートという学者は、英語あるいはフランス語しかしゃべれない、モノリンガルの10歳の子どもと、バイリンガルの10歳の子どものIQを、カナダ各地からサンプリングして比べてみることにしました。調査に先立って2人の学者は、これまでいわれてきたようにモノリンガルの子どもの方が、バイリンガルの子どもよりIQが高いだろうと予測していました。ところが、結果はまったく逆だったのです。
9カ国語しゃべる普通の子 バイリンガルの子どもは、ことばを混同して言語障害をおこすどころか、むしろ2か国語を知ったためにことばが豊かである。従来いわれてきた、幼児期から2か国語を教えるとどちらのことばの発達にも悪影響を及ぼすという信仰は、誤りといわざるを得ないと発表しています。
 脳障害児の治療と幼児の能力開発で、世界的に著名なグレン・ドーマン博士もまた、幼児のことばを学びとる能力がどんなに優れているかについて、次のように述べています。
 普通の子どもは1歳から5歳までの間に一つの言語をほとんどマスターする。2か国語を使う家庭で育った子どもは、6歳になるまでに両方の言語をおぼえるだろう。3か国語を使う家庭で育ったら3か国語、4か国語なら4か国語…となる。私はブラジルで9か国語を理解し、読み、書く9歳の少年に会ったことがある。普通の知能の子どもである。この、少年アビ・ロクサネスはカイロで生まれ(ここでフランス語、アラビア語、英語)、祖父(トルコ語)もいっしょに住んでいた。4歳のとき一家はイスラエルに渡り、父方の祖母(スペイン語)が家族に加わった。イスラエルで彼はヘブライ語、ドイツ語、イディッシュ語(ユダヤ語)を学んだ。そして、6歳のときブラジル(ポルトガル語)にやってきたのである。アビの両親は、それぞれ9か国語全部を話せるわけではないが、二人あわせるとアビが話せることばは全部話せるので、二人はその9か国語を使い分けてアビと会話している。(『赤ちゃんに読み方をどう教えるか』)


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