オンラインブック かしこい子どもに育てるための15章
3/15

第1部 幼児の可能性

(3)脳の土台づくりは3歳までに完成

イラスト 大脳生理学という大脳のはたらきを研究する学問の成果から話をすすめてまいりましょう。

人間の赤ちゃんは、およそ140億の脳細胞をもってうまれます。脳の発達は、細胞の数がふえていくのではなく、それぞれの細胞から神経の技がのびて、脳細胞どうし、おたがいに手をのばすようにしてつながり、複雑にからみあいながら脳のはたらきが高まってくるそうです。これをコンピューターのICにたとえてみるとわかりやすいようです。ICはひとつひとつでは、なんの役割もはたせないのに、それぞれをつなぐ配線ができて、はじめてコンピューターとしての機能をはたすことができるのに似ています。

ところが、注目しなくてはならないのは、この大脳の細胞同士のからみあいは、図のようにゼロ歳から急ピッチに発達し、60%が3歳までに、90%が6歳までに、そして、10歳までにほぼ100%完成するという事実です。

ただし、大脳全体が平均に発達するのではなく、3歳までが、上図の斜線以外の部分、つまり、脳のうしろ側の部分なのに対し、4歳以後は斜線部分のいわゆる前頭葉といわれる部分の発達です。

いいかえますと、外からの刺激をキャッチする、記憶するといった、基本的な情報処理のしくみが3歳までに形づくられ、思考・創造・意思・情操というような、人間らしさをつかさどる高度なものが、4歳以降に育ちはじめます。

このように人間の脳の発達は、3歳までに形づくられた土台がしっかりしていなければ、それ以降に発達する思考力、創造力、意思力、さらに自主性、適応力、知識欲というような大切な能力が育ちにくいといってよいでしょう。建てものでも基礎工事が大切で、良いもの、立派なものをつくろうとすればするほど、土台がしっかりしていなければならないのと同じ理屈です。

ところが、こうした話をしても、(ゼロ歳や1歳2歳というような赤ちゃん時代に、性格の基礎ができるなんて、とても考えられない)と、お母さん方はまだ半信半疑です。すくなくとも、生まれたばかりの赤ちゃん時代は、まるで情けない動物のような生きもの、そんな時期に人間の基礎ができはじめているなんて、常識的にはちょっと考えられないからでしょう。それが大変な間違いであるというひとつの例をあげましょう。


もどる
すすむ