オンラインブック かしこい子どもに育てるための15章
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第1部 幼児の可能性

(6)どの子も育つ育て方ひとつ

イラスト バイオリンの早期才能教育で有名な鈴木鎮一氏は、生まれたばかりのあかちゃんは、脳に病的な欠陥のある子でないかぎり、ひとり残らず秀れた能力を発揮できる素質をもっている」といい、ただ「そのような良い素質を持っていながら、環境が適当でなかったために素質が伸ばされない例があまりに多い」と述べています。

 氏の実践理論は、日本よりもアメリカ、カナダ、ロシアで高く評価されていて、いまや心理学者の研究課題のひとつになっています。実に貴重な指摘なのでその著書「幼児の才能教育」から、一部を引用してみましょう。

「私のおさない弟子のひとりであった豊田耕児君は、満2歳5ヵ月の時に、日本青年館でドヴォルザークの『ユーモレスク』を弾いたので、朝日新聞は彼を天才扱いにして大きく書き立てたことがありました。耕児君が突然そんな能力を発揮したわけでないのを私は良く知っています。耕児君の父はまた私の門下の1人で、毎日バイオリンを弾いており彼はその環境の中で育ち、そして、父からバイオリンを教えられて弾けるようになったので、お父さんの努力でそうなったのです。今では、この『ユーモレスク』は、才能教育をうけた4、5歳の子どもたちは全員、ほとんど全部りっぱに弾けます。こうして1000名にも近い子どもたちが弾くと、もう天才扱いはできないでしょう」

 指導さえ正しければ、親の努力次第で、幼い時からこうした能力を発揮することができるということを、ぜひ理解してほしいと述べ、さらに子どもたちのすばらしい素質は、バイオリンに限らず、あらゆる能力、すべての教育に通じるものだと断定しています。

「今までの子どもたちのほとんどが、生まれながらに持っているすぐれた能力を発揮する機会を与えられず、平凡なおとなになってゆくのは、端的にいえば、親たちが子どもの天与の素質に気がつかず、早くからこれを育てる努力を払わないためで、せっかくの才能の芽が枯衰してしまい、やせ細った苗となってしまって、とり返しのつかぬ結果になってゆくからです」

 どんな子でも、適当な時期に与えるべきものを与えさえすれば、すぐれた知能とすばらしい性格をもった子どもに育つはずだと氏は力説します。このようにいいきる言葉は、全ての子を持つ親に反省とはげましを与えてくれているといってよいでしょう。

 人間は誰でも140億の脳細胞を持ちながら、ふつうの人が使用しているものは、そのうちのわずか5〜10%、つまり、もともと持っている能力の90〜95%が宝の持ちぐされになっていると、ある大脳生理学者は指摘しています。いわば、あなたのお子さまは、くめどもくめどもつきない無限の能力を持っているといってよいでしょう。

 その可能性を心から信じ、あたたかい愛情をそそいでいくならば、きっと達成意欲の旺盛な子どもへと変身するに違いありません。


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