オンラインブック かしこい子どもに育てるための15章
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第2部 絵本のすすめ

(10)言葉の発達とテレビの問題点

イラスト ところが、それほど幼児の言葉の発達が、知能や思考力をのばす大切なカギをにぎっているにもかかわらず、最近の子どもたちは、お母さんから豊かな言葉を開くチャンスが少なくなってきているといいます。育児はいっさいテレビにおまかせという家庭もめずらしくありません。

 もちろん、テレビの影響がみんな悪いとは申しません。子どもは、自分が興味と関心をおぼえたものなら、親がとめてもやりつづけます。子どもにとってはくおもしろいもの〉が善であり、〈つまらないもの〉が悪なのです。身のまわりのものにたえず関心の目がむけられ、なにかおもしろいものがないかとたえず探しまわっています。そんな好奇心のかたまりみたいな子どもたちにとって、もっとも手っ取り早い興味が〈テレビ〉です。

 テレビは、思うような遊び場所をうばわれた子どもたちには、たまらない存在だといえましょう。なにしろ、素早い画面展開、ヒーロー、ヒロインが人間わざとは思えない超能力を発揮して、次々にあらわれる悪ものどもをなぎ倒すスリルとサスペンスに満ちあふれているのですから、子どもたちを引きつけないわけはありません。

 テレビのあることによって、あるいは、「テレビ文化」というものが成立したおかげで、幼児生活はどれほど楽しく恵まれたものになったか、はかりしれないものがあるといっても過言ではないでしょう。

 しかし、言葉の大切さ、たくさんの言葉を身につけさせるという点からみると、テレビという機械には欠点も多いということも知っておかなくてはなりません。つまり、テレビは、相手におかまいなく、一方的に情報を送りつづけるわけですから、見る方はどうしても受け身にならざるを得ません。そのため、幼児の時代から大切に育てていきたい、想像力、観察力、思考力、表現力、創造力、判断力といった大切な能力が育ちにくいのです。ですから、テレビの欠点をきちんと理解し、その上で番組を見せることをおすすめします。

 また、本来、言葉というのは、人と人との間にあって考えを伝えるコミュニケーションの手段です。したがって、子どもの言葉の発達を促進するのは、相手になる人が必要です。さらに言葉というのは、たまに使用するだけでは発達しないのですから、できるだけたくさん練習できる機会をつくることが必要です。そのためには、聞いてあげる相手である親や兄弟、友だちが必要だということです。

 そして、言葉は何かについて話をするわけですから、話の対象である材料が豊かであり、話をする経験が豊かであることが要求されます。

 そこに「絵本」の大切な役割があるといってよいでしょう。


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